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『A感覚とV感覚』稲垣足穂に平伏す


稲垣足穂

小説家。1920年代(大正末)から1970年代(昭和後期)にかけて、抽象志向と飛行願望、メカニズム愛好、エロティシズム、天体とオブジェなどをモチーフにした数々の作品を発表。代表作は『一千一秒物語』、『少年愛の美学』など(Wikipedia)。


人間を口から肛門にいたるひとつの筒と見立てたエッセイが『A感覚とV感覚』ですが、だいぶ昔に読んで、さらに最近、紙の本を一切捨ててしまったので内容はウェブからあらすじなどをひいて書いていきます。


A感覚 - アナル

P感覚 - ペニス

V感覚 - ヴァギナ


そう、そのままズバリなのだが、A感覚は男性でも女性でも持つ原初的な感覚で、そこから派生してP感覚、V感覚へと別れる。


女性のV感覚はA感覚に似ているが、A感覚の方がオリジナルであり、女性はV感覚に住みついてしまうとA感覚からは遠ざかる。男性のP感覚はV感覚の僕(しもべ)であり、ただただ無用に精を吸い取られる。*


* この辺り、僕独自の解釈なので稲垣足穂がそう言っていたかはうろ覚え。


P感覚がV感覚に隷属しているというのはラディカルな考えだが、結構思い当たる節もある。


・セックスが射精の方向にだけ向かってしまうとつまらなくなること

・マッサージにおいても「抜き」を受け手から望まれるとつまらなくなること


マッサージにおいてはたかだか、60分、90分という区切りのなかで射精を強いられるのだから、「射精」をゴールとして考えてしまうと、与え手のみならず受け手もつまらなさがあるだろう。


そこでA感覚。


P感覚が能動性を必要とするのに対して、A感覚は受容性が必要だ。受け手が本当の意味で「受ける」「開いていく」と、そこに与え手が「与える」「広がりの中に入っていく」ことができる。


受け手のP感覚のオーガズムと与え手が受け手のPに刺激を与えるのは、エネルギーがガツンガツンとぶつかり合うような感じである。相反する感じ。


A感覚の場合は、先に述べたとおり、与え手、受け手の役割がしっかりと馴染み、エネルギーが上手く上昇するだろう。*


* ここにもチャレンジはあるけれどもそれはまた後日。


このA感覚に対する稲垣足穂氏のエッセイが、数年前に読んで、マッサージをしていた僕にガツンと来た。


「そういうことだったのか」


外からの情報と内側での経験が一致して腑に落ちたのだ。ひと昔前の世代を生きた人なのに、ね。稲垣足穂に平伏します。

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